家族の関係や性格、希望する家や暮らしのスタイルは、自分たちが一番よく知っている。
このような思い込みが、時として大きな失敗につながる場合があります。
当事者ゆえに見えないこと、言えないことも多いと思います。
せっかくの2世帯住宅が、以下のようにならない為にも、信頼できる第3者にお互いの家族像を見直してもらい、
2世帯間の適正な距離の提案を受けることが2世帯住宅の成功の大きな鍵のひとつになるといえます。
建築の知識と共に、2世帯住宅の計画を何度も経験している設計者が家の基本的な計画段階(企画段階)から話に加わることは、失敗しない家づくりに非常に有効なものと考えます。
また、計画段階と基本設計段階で充分な時間をかけ、充分に納得をした上で計画を具体化していくことも家族の皆が納得できる家づくりに必要なことと思います。
【2世帯住宅のクレーム例】
親世帯のクレーム例
■全般
・子世帯にまかせて家をつくったが、前の家の方が住みやすい
・同居したら孫のめんどうは祖母の役目?。もう少し静かに暮らしたい
・茶の間の上に孫のピアノがあり、テレビの音が聞こえない
■ほとんど同居型・部分分離型
・両世帯共用のリビングにしたら親世帯の居場所がなくなってしまった
・両世帯共用のキッチンにしたら、食事の好みが合わない
小さくても自分たち用のキッチンをつくれば良かった
・両世帯共用の浴室にしたら、ゆっくり長湯ができなくなってしまった
・玄関を共有したのは良かったけれど、郵便の仕分けは親の係?
■完全分離型
・子世帯への行き来が不便
・それぞれのスペースが予想以上に狭苦しい
子世帯のクレーム例
■全般
・設計の打ち合わせは両世帯一緒、遠慮から自分の意見を言えず、希望の家にならなかった
・親の希望での2世帯住宅、メンテナンス費用や税金まで子世帯が負担することになってしまった
・木造2階建ての2階を子世帯に階下の親世帯への音や振動が気になってしかたがない
おまけに、親世帯の寝室の上に子供部屋をつくってしまった
・吹き抜け越しに親世帯のたばこの煙が上がってきてつらい
■ほとんど同居型・部分分離型
・お風呂を共有。子供は早く入れたいのに、入る順番で遠慮してしまう
・同居型としたものの、日常の生活リズムのズレから、家事の時間が倍増してしまった
■完全分離型
・完全分離型にしたのに、親が何かと子世帯に顔を出して困る
・完全分離型にしたのは良いけれど、親世帯に行く用事のたびに玄関から外に出なければならない