建築雑誌にて「練馬の家」を気に入って頂いた建て主の方々と共に、時間をかけて打合せ、設計を行なった家です。
設計にあたっての主なご要望は
「2世帯が気兼ねなく暮らせるように、各世帯の意見の調整しながら設計してほしい」
「風通しがよく、充分な採光を確保した住まいとしたい」
「収納スペースをうまく確保し、すっきり生活できる住まいとしたい」
というものでした。そこで、
「基本的には完全分離型でありながらも、内部でつながっている家」
「各室全てを日当たり、通風のよい前面道路側に面するものとする」
「各室ごとに、その周辺で使用する物を収納するスペースを設ける」
ことを計画の基本とした住宅です。
<外観>
ゆるやかな住宅地の坂道にそって建つこの家の外観は、坂道の勾配に合わせたシンプルで単純な形態とし、
外壁は創り手の手の跡が残る土壁調の仕上げとしました。
<玄関ポーチ>
各世帯の玄関前はベンチのあるポーチを共有しています。
ベンチの両脇には両世帯の各種メーターや郵便受けをまとめたボックスを設けました。
アプローチの床は古枕木を再利用、玄関の石は化石入り石灰岩です。
写真上:正面は北庭につながる子世帯の玄関です
<玄関(親世帯)>
<1階(親世帯)リビングダイニング>
食卓を中心としたリビングは、間接照明により柔らかな空間を演出、
年配の夫妻のためのシックなインテリアとしました。
<2階(子世帯)リビングダイニング>
AV機器やFAX機、書籍、アイロンなど、日常この部屋で使われるものを納めるべくデザインした収納棚を
設けたリビングです。コスト面から、家具屋さんによらず、大工さんにつくってもらいました。
正面の建具は上吊りの木製建具です
<2階(子世帯)キッチン>
浴室、洗濯室、洗面所などの水廻りとつながるキッチンです。
キッチン脇にはサービスバルコニーを併設。トップライトからの光により、明るく快適なキッチンとしました。
<2階(子世帯)バルコニー>
リビングと子供室の前面のバルコニーは、建具と同様、水に強いひば材によるバルコニーです。
軒下には運動靴やぞうきん等を洗う洗濯流しを設置しました。
このバルコニーの塗装は、建て主によるセルフビルドです。
コストを抑えること以上に、自分たちで塗装することで
自分たちの家に対してより多くの愛着を持つことになったことと思います。
<2階(子世帯)子供室>
将来2室に分けることを前提に、開口部や各種設備を配置した子供室です。
<2階(子世帯)デスクコーナー>
2階のデスクコーナーは、ご主人の仕事場でもあり家族みんなのパソコンコーナーです。
<2階(子世帯)クロゼット>
ウォークインクロゼットとは別に設けたこのクロゼットは、主に食品類のストックヤードです。
<2階(子世帯)寝室>
寝室は完全遮光の部屋にというご要望を受け、防犯戸を兼ねた遮光室内戸を設けました。
開口上部の丸棒は、雨天時等に洗濯物を室内で干すためのものです。
<手形>
家族の手形を床に捺して頂きました。
新築の記念として、語り継がれる家族の記憶として家とともに在り続けることを期待するものです。
工程
設計期間 1999.12~2000.07
工事期間 2000. 8~2001. 3
敷地条件
第1種低層住居専用地域、
第1種高度地区
道路幅員 西6.0m
外部仕上
屋根:ガルバリウム鋼板 竪はぜ葺き
外壁:構造用ラスカット下地、モルタル塗、アクリルリシンこて塗
開口部:アルミサッシュ、木製建具(米ひば)
外構床:古枕木敷込(階段共)
バルコニー:パイン材(土塗壁同等木材)、ひば、キシラデコール塗
内部仕上
居間(1・2階共)
床:さくら(床暖対応)フローリング
壁:PB ジョリパット、珪藻土風仕上
天井:PB 防汚AEP塗